= JA滋賀蒲生町 食育シリーズ =
■2009/7/29 - 家族と食育の問題
食育・料理研究家 坂本 廣子さん   JA広報通信 2009年7月号より

 最近、大家族を取り上げたテレビ番組を見ました。ご夫婦には、高校生を筆頭に6人の子どもがいます。お父さんは一家の大黒柱として、深夜の仕事を頑張っていてそれを優しい専業主婦のお母さんが支えています。子どもたちも受験を乗り越えて、すくすくと育っていました。
 番組中、子どもたちが何やら話し合うシーンが。母の日にお母さんの代わりに家事をやろうというのです。
 お母さんの手は、水仕事をすると皮がむけてしまうという痛々しい状態。それでも家族のために炊事洗濯をしています。
 子どもたちといえば、実は家事をしたことがないといいます。そこで「家事をやりたい」とお父さんに提案にいくと「熱い油を浴びたら危ないんだから、中途半端にはやらないで」と釘を刺されてしまいました。
 いざ子どもたちだけで、買い物や洗濯をすると、ぎこちない動きが目立ちます。料理に至っては、炊飯すらしたことないので、悪戦苦闘してオムライスを作り上げました。
 お母さんは「うれしいわ」と喜んでいましたが、私は少し考えてしまいました。これからもお母さんの家事は続きます。子どもたちのお手伝いは、たった一日で終わってしまうのではないでしょうか。
 親より背の高い子どもたち。自分のごはんくらい自分で作れるようになってほしいものです。家族一人の犠牲の上に、家族は成り立つのではないのですから。
 家族の一人ひとりが、食事を作る力を持つこと。最低限の食を組み立てる力こそ、食育として子どもたちに身につけさせたいものです。

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■2009/6/30 - 子どもと夏のおかずを作ろう
JA広報通信 2009年6月号より

みんなで実践 食育の話
子どもと夏のおかずを作ろう
食育・料理研究家 坂本 廣子さん

 子どもの日常が学校から離れる夏休み。家庭でゆったり過ごすことは、子どもの成長の上でとても大切だと思います。
 時間割から解放された子どもに、家庭の中で家族のために使う時間である「家事」を体験させてあげましょう。暮らしを支える家事を、家族みんなで担う事は素晴らしいこと。きっと大人になって家庭を持ったときにも喜ばれる力となるはずです。
 さて、材料はキュウリ2本。洗ったキュウリを、まな板の上に置いてピーラーで「しましま」に剥きます。ピーラーで剥いたところは、平らになっているので切る時に転がらず、味も染み込みやすくなります。
 次にキュウリを「猫の手」で押えて、よく切れる包丁で指1本分の幅に切っていきます。切ったキュウリを食品用のポリ袋に入れたら、味を付けましょう。醤油を小さじ1杯だけ加えるシンプルな味付けでもいいですし、それに砂糖小さじ1杯、酢小さじ2杯を入れるとさっぱりした味わいに。さらにごま油を少したらせば、中華風になります。
 袋の空気を押し出して口を閉じると、調味料がすべてに回って簡単な漬物が完成です!朝か昼に作って冷蔵庫に入れておくと、晩ご飯のときには食べごろになるでしょう。しっかり冷やした漬物は、食欲もわくので喜ばれると思います。
 さらに細切りにしたショウガやシソの葉を入れても、風味がついていいでしょう。キュウリだけでなく、ナスの薄切り、ミョウガの細切り、ニンジンのいちょう切りなどを加えると、色合いもきれいになりますよ。子どもといろいろ試して、オリジナルの漬物を作ってみましょう。


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■2009/5/29 - 子どもにふさわしい食育モデルを
食育・料理研究家 坂本廣子さん JA広報通信2009.5月号より

さまざまなものを「食育」と一括されると、どうしても違和感があります。
どれを食育とするか線引きするのは、意外と簡単です。子どもにとって理解できるものか、そして子どもにとって良いものかを基準にすればいいと思います。
 先日、テレビで放送されていた、親子クッキングショーを例にしてみましょう。まず、ひな壇に並んだ親子が拍手しています。そしてちまたで料理ができるといわれているタレントが登場して番組がスタートしました。
 しかし肝心の料理ですが、塩、砂糖、酢、コショウなど、おなじみの調味料が出てこないのには驚きました。使われているのは、だしのもと、顆粒調味料、だし入りしょうゆ、めんつゆなど。これらで味付けしてしまうのです。顆粒調味料に至っては、中華風と洋風の2種類が入ります。
 このような調味料を使わなくても、塩や砂糖、酢を使えばもっと簡単に作れるのに・・・・と思わず画面につぶやいてしまいました。
 さぁ、スタジオの子どもたちも料理に参加します。しかしここでも首をかしげることが。子どもたちの料理は、型に詰められたご飯をひっくり返して出す、または肉の端っこを持っただけなのです。これでは、何が体験できたというのでしょう。それでも参加なので、みんなで拍手!というエンディングでした。なんとむなしい食育モデルケースなんだろうと思いました。
 いつも「子どもだからこそ本物を」と願い続けています。たった1回の出会いであっても、子どもにちゃんと手本を見せて、真っ正面に向かい合いたいものです。そしてモデルケースは、きちんとしたモデルでこそ、本物の働きを見せるでしょう。もっと子どもに対して真剣に接してほしいとしみじみ感じました。

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■2009/4/30 - 本物に出会うって大事
食育・料理研究家 坂本廣子さん JA広報通信2009.4月号より

 「キッズプラザ大阪」という子どものための博物館で、子どもだけで作る料理教室を8年ほど続けています。
通常の博物館は、展示物の横に「触らないでください」と書いてありますが、こちらの博物館はとてもユニーク。
見て、触って、物事を感じ、理解してほしいため「どうぞ触って!」と書いてあります。
 先日の料理教室では、お赤飯を作ることになりました。その前に「日本では、うれしいこと、悲しいことは色や食事で表しますよ」と
色紙をボードに張って並べながら解説していきます。
「白に赤、金銀などの組み合わせはうれしいこと。白と黒、紫、黄色、水色、銀色などは悲しいことを表す色の組み合わせです。
ですから、贈り物にもその色を表した熨斗(のし)を掛けます」と説明していくと、「熨斗?」とつぶやく若い親御さんが・・・・。
「しまった!実物を用意すればよかった」と反省しきり。熨斗を見た事がないと、色の説明をされてもピンとこなかったことでしょう。
 そして赤飯が出来上がると、子どもたちは誰一人として嫌がらずに食べます。3杯以上お代りをした子もいました。
4歳児が多かったこの教室では、およそ3分の1の子が初めて赤飯を食べたそうです。
 これにはスタッフもちょっと驚きました。赤飯はコンビニエンスストアのあにぎりにもあるほど。でも、食べたことはなかったのですね・・。
 しかし、初めて出会ったお赤飯を「美味しい!」と、思いっきり食べてくれたのはよかったです。それもそのはず、丹波大納言の大豆、
対馬海流の塩、こだわりのもち米で作ったのですから。

 これから先も「お赤飯おいしいね」って食べてもらえるなら、うれしいことです。最初に本物に出会うって大事ですよね。
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■2009/4/2 - おやつが変われば?
食育・料理研究家 坂本廣子さん JA広報通信2009.3月号より

 毎年、みそ作り教室を開いてきました。昔ながらのほんわりと白い綿のような花が咲いた麹で作る味噌は、誰もがもっと作りたいと思う素晴らしい味に仕上がります。
 豆も品種を選び、しっかりと栽培されたものなので、柔らかく炊き上げると、薬指と親指で挟むだけでペジャっとつぶれてしまうほどです。
 小さなポリ袋に麹を入れて揉みほぐし、塩を加えて空気を入れて振れば、塩切り麹に。そこに豆を加えて外から揉むだけで、アッという間にみそ玉の出来上がりです。幼稚園児でも3歳の子どもから挑戦できます。
しっかりと空気を抜いてかめに詰めたら、秋にはそれはそれは美味しい「幼稚園みそ」の完成です。
 さて、今年もみそ作りと思っていたら、豆を炊いていただいていた甘納豆屋さんが営業不振で廃業することになったのです。聞けば昨年だけで3軒の甘納豆屋さんが廃業したとの事。
こうして豆を上手に炊く技術は途絶えてしまうのでしょうか。
 後継者問題や高齢化など、いろいろな理由はあるにしても、基本的には甘納豆が売れなくなっているのです。子どもたちは、おやつに甘納豆を選ばず、食べる方も高齢化しているのでしょう。
 まさに「おやつが変わればお店がつぶれる!」です。甘納豆を食べた事のない子どもたちは、おやつの選択肢に入っていないと思います。
 先日、長野県飯田市で開催した「子ども体験料理教室」のメニューに、地元の「市田柿」を入れたところ、子どもたちは食べ慣れているため、本当においしそうに食べてくれました。
先祖から育んできた日本のおやつを、意識して子どもたちに食べさせてあげてください。それが食品加工の基本である日本の技術を残す元になるのですから。
たかがおやつ、されどおやつです。日本の未来のためにしっかり選んで食べましょう。

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