= JA滋賀蒲生町 食育シリーズ =
■2010/2/26 - 価値観を押し付けない「食育」を
みんなで実践!食育の話 広報通信2010年2月号

価値観を押し付けない「食育」を


 世間では徐々に「食育」が認知されてきました。その半面、子どもたちにとって食育が、新たな「良い子の条件」となっていることに一抹の不安を感じます。「きちんと何でも食べる、良い子になろう!」と言われたら確かにその通りですが、どうも気持ちがすっきりしません。
 例えば、「甘いものは良くない食べ物」、「野菜は良い食べ物」と、自分たちの食育に対する価値観を子どもに押しつけていませんか?甘いものであろうと何であろうと、食べ過ぎがよくないだけの話で、「食べるか・食べないか」を自分で判断する力をつける方が大切です。一度、胸が悪くなるほど、思いっきり食べてみた方がいいかと私は思います。
 また、「良い子は甘いものを食べません」と言われた子どもは、甘いものを食べるときに「自分は悪い子だ」と罪悪感を持ってしまいます。時には隠れて食べるような行動を取るかもしれません。おいしいものを「おいしいね!」と素直に食べられないことは、とても悲しいことだと思いませんか。
 科学的な見地からも食べ物に善悪はありませんから、自分たちの価値観で食べ物の善悪を決めるのは避けましょう。食育を、価値観を押し付ける為の道具、または自分たちの意見に従わせるための道具にしてはいけません。
 むしろ、いろいろな食べ物に出合う事を楽しみ、食を体感することで、自分で生きていく力がつけばと思います。子どもたち一人ひとりを大切にした、体感型の食育が広がる事を願っています。

食育・料理研究家 坂本廣子

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■2010/1/29 - 節分の食を味わおう
食育・料理研究家 坂本廣子さん

JA広報通信 2010年1月号より

 「鬼は外、福は内!」節分は季節感のある楽しい行事です。

 いった大豆は、年の数にもう一つ足して食べるとよいと言われました。一生懸命、数えて食べたことを思い出します。道の角には、ヒイラギにイワシの頭を刺したものを並べたものです。そして夕食には、いり豆ご飯とイワシの塩焼きが出て、舌でも節分を味わいました。

 節分のころは、受験生の追い込みの時期でもあります。最後まで受験勉強を支えるためにおすすめしたいのが、イワシと大豆の「節分ご飯」。
イワシなどの青背の魚に含まれるDHA(ドコサヘキサエン酸)は、脳の栄養分の一つと言われています。豆に含まれる必須アミノ酸も、その名の通り体にとって必要な物質です。
 特に、いり大豆は料理の上でも優れものです。ご飯を炊く準備ができたとき、米3カップに対して4分の3カップのいった豆と、小さじ1の塩を加えて下さい。水加減はいつも通りで構いません。
 炊き上がりは、いり豆の風味がしっかり染み込んだ、炊き込みご飯のようなおいしさです。
 ほかにも、例えば筑前煮のような煮物をするときに、いり豆をパラリと加えて煮てみましょう。ゴボウなどの根菜が柔らかくなるのと一緒に、豆も柔らかく仕上がります。

 いり豆の作り方は、電子レンジに入る平皿に1カップの大豆を載せ、ラップをせずに電子レンジで3分間、加熱します。豆の胴がパチッと割れて、芯からいることができます。「節分ご飯」をどうぞご家庭でお試しください。

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■2009/11/30 - クリスマスの食から異文化を知ろう
JA広報通信 2009年11月号より

みんなで実践 食育の話
食育・料理研究家 坂本 廣子さん

 もともとは日本の行事ではないクリスマス。しかし今ではすっかりなじみ、子どもにとっても楽しみな行事です。ツリーを飾ったり、ケーキを食べたりと、幼いころのキラキラとした思い出を作る日になっていることでしょう。
 キリスト教文化の国でのクリスマスと違っていても、異文化へのまなざしは育つきっかけにもなっているようです。
 ヨーロッパのクリスマスは、宗教的で家族の寄り添う時間を祈りで満たすもの。お店も休みで、観光客は食事を取ることすら大変なくらい静かな時期となります。
 もちろん食事も日本のおせち料理のように、願いを込めた食べ物をいただきます。
 一つはリンゴです。これはアダムとイブのお話にあるように、知恵の実と位置付けられています。クリスマスツリーに小さなリンゴが飾られているのをご存知の人もいることでしょう。
 もう一つは、木の実です。木の実は、堅い殻を苦労して割って、やっと実りを得るという意味で、人生の象徴と言われています。そのため、クリスマスケーキにはたっぷりの木の実を入れたフルーツケーキなどが中心で、飾りを付けることは少ないのです。料理の中にも食文化がしっかりと根付き、食から伝統がつながっていることが分かります。
 子どもにとって異文化を知る事は、視野を広げるとてもいい機会です。国際化時代を生き抜く力を育てるためにも、外国文化の事を話してあげたり、行事食について意味を教えてあげたりと、クリスマスとの出会いをより良いものにしてあげましょう。


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■2009/9/29 - 実りの季節に
JA広報通信 2009年9月号より

みんなで実践 食育の話
食育・料理研究家 坂本 廣子さん

 さまざまな食材が実り、楽しめる秋がやってきました。
季節の移り変わりを感じながら、旬の食べ物を味わうの
は楽しいものですね。
 そして、あちこちで実りに感謝する祭りが開かれる時期
でもあります。
 長い歴史のある地域の祭りは、伝承しなければならない
事柄を、祭りとして表現しているように思えます。また、土に
根差して生きる日本の祭りは、自然という神への祈りを捧げ
るとともに、参加する人と人とのつながりを確認する場ともい
えます。祭りによって、地域の力としての人間関係がはぐくま
れるのです。
「村の鎮守の神様の〜」という唱歌がありますが、果たして今
の子どもたちには意味が分かるでしょうか。歌われていること
を実際に体験していないと、何のことか理解できないかもしれ
ません。祭りを伝えるということは、体験させる事から始まりま
す。小さな子供のころに祭りに参加した記憶をしっかりと持たせ
てあげてください。
「でも、少子化の時代で、地域に子どもが少ないんだよ」と言わ
れるかもしれません。ならば、都会の子どもに祭りに来てもらえ
る方法を考えてみましょう。都会に居るお孫さんに声を掛けて、
その友達も連れてきてもらうのもいいでしょう。
 ほかにも、都会の子ども会に公募をして来てもらうなど、いろい
ろな方法が考えられます。その時にはぜひ祭りの行事食も体験
させてあげましょう。食の伝統も大切な体験のひとつだからです。
 伝承を絶やさないためには、人から人へ、体験の記憶を伝えて
おきたいもの。祭りのお膳を作り、祭壇へと祭る経過をビデオなど
で撮影し、一部始終を伝えていく方法もあります。
 貴重な日本の文化として、祭りと行事食を伝えるように努めていき
ましょう。

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■2009/9/1 - おいしいご飯を食べよう
みんなで実践 食育の話
JA広報通信 2009年8月号より

食育・料理研究家 坂本 廣子さん

 子ども向けの料理教室でのことでした。幼稚園児12人が参加する
ちびっ子クラスでは、豆をテーマに「インドの豆カレー」を作りました。
 出来上がった料理を配膳(はいぜん)し、いつものように「お代りは
こちらにあるからね」というと、あっという間に一升炊いたご飯が空っ
ぽに!子どもたちの食欲に驚きです。いつもは食の細い子どもも
「だって、ご飯がおいしいんだもん!」としっかり食べていました。
お母さんも「ここでは、よくご飯を食べるんですよ」と口にされます。
 料理教室のお米は、山形県・奥羽山脈の湧水を使った田んぼのも
の。アイガモ農法で栽培しているそうです。子どもたちは「教室で食
べるご飯はおいしい」と、ご飯の味を理解しているよう
です。
 これから新米の時期を迎え、各地で「お米を食べようキャンペーン」
などが催されるでしょう。キャンペーンでは、いろいろな具材を混ぜて
人形の形にしたおにぎりや、油をたっぷり使ったチャーハンといった
料理が紹介されています。しかし、これではお米本来の味が分から
なくなってしまいます。
 やはり子どもには、本当においしい白米を食べさせてあげたい。
それがご飯を好きになる方法だと思います。
 羽釜をかまどに載せて、まきをくべて炊いたご飯--香ばしいおこ
げの記憶は、今でも懐かしい思い出です。そんな世代の私は、食事
にご飯が出てこないと、食べた気がしないタイプです。でも、おいしい
ご飯を食べた体験のない子どもは、「ご飯?別にぃ、食べたくないって
いうかぁ」なんて言うかもしれません。
 どうぞ新米の季節こそ、おいしいご飯を子どもに食べさせてください。


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■2009/7/29 - 家族と食育の問題
食育・料理研究家 坂本 廣子さん   JA広報通信 2009年7月号より

 最近、大家族を取り上げたテレビ番組を見ました。ご夫婦には、高校生を筆頭に6人の子どもがいます。お父さんは一家の大黒柱として、深夜の仕事を頑張っていてそれを優しい専業主婦のお母さんが支えています。子どもたちも受験を乗り越えて、すくすくと育っていました。
 番組中、子どもたちが何やら話し合うシーンが。母の日にお母さんの代わりに家事をやろうというのです。
 お母さんの手は、水仕事をすると皮がむけてしまうという痛々しい状態。それでも家族のために炊事洗濯をしています。
 子どもたちといえば、実は家事をしたことがないといいます。そこで「家事をやりたい」とお父さんに提案にいくと「熱い油を浴びたら危ないんだから、中途半端にはやらないで」と釘を刺されてしまいました。
 いざ子どもたちだけで、買い物や洗濯をすると、ぎこちない動きが目立ちます。料理に至っては、炊飯すらしたことないので、悪戦苦闘してオムライスを作り上げました。
 お母さんは「うれしいわ」と喜んでいましたが、私は少し考えてしまいました。これからもお母さんの家事は続きます。子どもたちのお手伝いは、たった一日で終わってしまうのではないでしょうか。
 親より背の高い子どもたち。自分のごはんくらい自分で作れるようになってほしいものです。家族一人の犠牲の上に、家族は成り立つのではないのですから。
 家族の一人ひとりが、食事を作る力を持つこと。最低限の食を組み立てる力こそ、食育として子どもたちに身につけさせたいものです。

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■2009/6/30 - 子どもと夏のおかずを作ろう
JA広報通信 2009年6月号より

みんなで実践 食育の話
子どもと夏のおかずを作ろう
食育・料理研究家 坂本 廣子さん

 子どもの日常が学校から離れる夏休み。家庭でゆったり過ごすことは、子どもの成長の上でとても大切だと思います。
 時間割から解放された子どもに、家庭の中で家族のために使う時間である「家事」を体験させてあげましょう。暮らしを支える家事を、家族みんなで担う事は素晴らしいこと。きっと大人になって家庭を持ったときにも喜ばれる力となるはずです。
 さて、材料はキュウリ2本。洗ったキュウリを、まな板の上に置いてピーラーで「しましま」に剥きます。ピーラーで剥いたところは、平らになっているので切る時に転がらず、味も染み込みやすくなります。
 次にキュウリを「猫の手」で押えて、よく切れる包丁で指1本分の幅に切っていきます。切ったキュウリを食品用のポリ袋に入れたら、味を付けましょう。醤油を小さじ1杯だけ加えるシンプルな味付けでもいいですし、それに砂糖小さじ1杯、酢小さじ2杯を入れるとさっぱりした味わいに。さらにごま油を少したらせば、中華風になります。
 袋の空気を押し出して口を閉じると、調味料がすべてに回って簡単な漬物が完成です!朝か昼に作って冷蔵庫に入れておくと、晩ご飯のときには食べごろになるでしょう。しっかり冷やした漬物は、食欲もわくので喜ばれると思います。
 さらに細切りにしたショウガやシソの葉を入れても、風味がついていいでしょう。キュウリだけでなく、ナスの薄切り、ミョウガの細切り、ニンジンのいちょう切りなどを加えると、色合いもきれいになりますよ。子どもといろいろ試して、オリジナルの漬物を作ってみましょう。


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■2009/5/29 - 子どもにふさわしい食育モデルを
食育・料理研究家 坂本廣子さん JA広報通信2009.5月号より

さまざまなものを「食育」と一括されると、どうしても違和感があります。
どれを食育とするか線引きするのは、意外と簡単です。子どもにとって理解できるものか、そして子どもにとって良いものかを基準にすればいいと思います。
 先日、テレビで放送されていた、親子クッキングショーを例にしてみましょう。まず、ひな壇に並んだ親子が拍手しています。そしてちまたで料理ができるといわれているタレントが登場して番組がスタートしました。
 しかし肝心の料理ですが、塩、砂糖、酢、コショウなど、おなじみの調味料が出てこないのには驚きました。使われているのは、だしのもと、顆粒調味料、だし入りしょうゆ、めんつゆなど。これらで味付けしてしまうのです。顆粒調味料に至っては、中華風と洋風の2種類が入ります。
 このような調味料を使わなくても、塩や砂糖、酢を使えばもっと簡単に作れるのに・・・・と思わず画面につぶやいてしまいました。
 さぁ、スタジオの子どもたちも料理に参加します。しかしここでも首をかしげることが。子どもたちの料理は、型に詰められたご飯をひっくり返して出す、または肉の端っこを持っただけなのです。これでは、何が体験できたというのでしょう。それでも参加なので、みんなで拍手!というエンディングでした。なんとむなしい食育モデルケースなんだろうと思いました。
 いつも「子どもだからこそ本物を」と願い続けています。たった1回の出会いであっても、子どもにちゃんと手本を見せて、真っ正面に向かい合いたいものです。そしてモデルケースは、きちんとしたモデルでこそ、本物の働きを見せるでしょう。もっと子どもに対して真剣に接してほしいとしみじみ感じました。

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■2009/4/30 - 本物に出会うって大事
食育・料理研究家 坂本廣子さん JA広報通信2009.4月号より

 「キッズプラザ大阪」という子どものための博物館で、子どもだけで作る料理教室を8年ほど続けています。
通常の博物館は、展示物の横に「触らないでください」と書いてありますが、こちらの博物館はとてもユニーク。
見て、触って、物事を感じ、理解してほしいため「どうぞ触って!」と書いてあります。
 先日の料理教室では、お赤飯を作ることになりました。その前に「日本では、うれしいこと、悲しいことは色や食事で表しますよ」と
色紙をボードに張って並べながら解説していきます。
「白に赤、金銀などの組み合わせはうれしいこと。白と黒、紫、黄色、水色、銀色などは悲しいことを表す色の組み合わせです。
ですから、贈り物にもその色を表した熨斗(のし)を掛けます」と説明していくと、「熨斗?」とつぶやく若い親御さんが・・・・。
「しまった!実物を用意すればよかった」と反省しきり。熨斗を見た事がないと、色の説明をされてもピンとこなかったことでしょう。
 そして赤飯が出来上がると、子どもたちは誰一人として嫌がらずに食べます。3杯以上お代りをした子もいました。
4歳児が多かったこの教室では、およそ3分の1の子が初めて赤飯を食べたそうです。
 これにはスタッフもちょっと驚きました。赤飯はコンビニエンスストアのあにぎりにもあるほど。でも、食べたことはなかったのですね・・。
 しかし、初めて出会ったお赤飯を「美味しい!」と、思いっきり食べてくれたのはよかったです。それもそのはず、丹波大納言の大豆、
対馬海流の塩、こだわりのもち米で作ったのですから。

 これから先も「お赤飯おいしいね」って食べてもらえるなら、うれしいことです。最初に本物に出会うって大事ですよね。
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■2009/4/2 - おやつが変われば?
食育・料理研究家 坂本廣子さん JA広報通信2009.3月号より

 毎年、みそ作り教室を開いてきました。昔ながらのほんわりと白い綿のような花が咲いた麹で作る味噌は、誰もがもっと作りたいと思う素晴らしい味に仕上がります。
 豆も品種を選び、しっかりと栽培されたものなので、柔らかく炊き上げると、薬指と親指で挟むだけでペジャっとつぶれてしまうほどです。
 小さなポリ袋に麹を入れて揉みほぐし、塩を加えて空気を入れて振れば、塩切り麹に。そこに豆を加えて外から揉むだけで、アッという間にみそ玉の出来上がりです。幼稚園児でも3歳の子どもから挑戦できます。
しっかりと空気を抜いてかめに詰めたら、秋にはそれはそれは美味しい「幼稚園みそ」の完成です。
 さて、今年もみそ作りと思っていたら、豆を炊いていただいていた甘納豆屋さんが営業不振で廃業することになったのです。聞けば昨年だけで3軒の甘納豆屋さんが廃業したとの事。
こうして豆を上手に炊く技術は途絶えてしまうのでしょうか。
 後継者問題や高齢化など、いろいろな理由はあるにしても、基本的には甘納豆が売れなくなっているのです。子どもたちは、おやつに甘納豆を選ばず、食べる方も高齢化しているのでしょう。
 まさに「おやつが変わればお店がつぶれる!」です。甘納豆を食べた事のない子どもたちは、おやつの選択肢に入っていないと思います。
 先日、長野県飯田市で開催した「子ども体験料理教室」のメニューに、地元の「市田柿」を入れたところ、子どもたちは食べ慣れているため、本当においしそうに食べてくれました。
先祖から育んできた日本のおやつを、意識して子どもたちに食べさせてあげてください。それが食品加工の基本である日本の技術を残す元になるのですから。
たかがおやつ、されどおやつです。日本の未来のためにしっかり選んで食べましょう。

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■2009/3/11 - デジタル時代の食育

食育・料理研究家:坂本廣子さん JA広報通信2009.2月号より

子どもたちに本の読み聞かせをしている人たちから、最近はお伽話の人気がないと聞きます。読み聞かせても、子どもたちが理解できないと言うのです。
例えば「舌切り雀」のお話で「雀がのりをなめて」と話したとき、ひょっとしたら子どもの頭の中ではスティックのりが思い浮かんでいるのかもしれません。ご飯粒がのりとして使われていたことを知らなければ当たり前のことなのでしょう。
また、すり鉢を使った体験のない子にとっては「ゴマすり」という言葉がピンとこないようです。
これも「一休さん」というアニメが放送されていたときは、まだ話が通じました。エンドロールの中ですり鉢を使っているシーンがあったからです。しかし「一休さん」の放送がなくなって久しい今では、家庭での体験がなければ、理解するのが難しくなっています。
こうした現代の子どもたちが、教育ファームなどで農業体験をすることは、衝撃的な体験になるようです。

 子どもたちは農業を通して「人間は自然のひとつ」であることを知ります。パソコンのキーボードをたたけば何でもできるわけではなく、自分の思い通りにはなかなかいかない壁を感じることで地に足が着き、じっくりと考える基本が
生まれるのです。

 インターネット上の動画を見て、体験した気になるのではなく、デジタル時代だからこそ、みんなが地に足を着けて自然に学ぶことが大切です。体験不足から生まれる知識不足を少しでもなくしてあげることが、大人の役割だと感じます。

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■2009/2/6 - 食育指導者に望むこと
みんなで実践!食育のはなし

食育指導者に望むこと

最近の子どもたちは、指示待ちで困る、という嘆きをよく聞きます。
私の料理教室でも、初めて参加する子は、どうしても指示待ちになってしまいます。
でも、日常生活において指示待ちの多い子が、突然、料理教室で積極的になるわけありませんよね。どうやら子どもたちは、大人に言われる通りにしていないと叱られる、または、自分からは何もしないで、出された指示に従えばいいのだと思っているようです。
先日も若い食育指導者から、自分の知識を子どもに伝えるとき、どうしたらいいのかと聞かれました。
まず、指導する前に、大まかでも方向性と到達すべきゴールを決めておきます。そして実際に教えるときは、ゴールへの道筋を示すだけでいいと思います。
あまり細かく指示を出し過ぎたり、こちらが決めた方針から外れると許さないといった指導法では、受け手の子どもは委縮してしまいます。
山へ行くのに海に行こうとしたり、崖から落ちそうになったりしたら、ようやく止めるくらいの気持ちでいましょう。いわば指導者は羊飼いのごとしです。
教え込んで、自分の思い通りに進ませることが「食育」ではありません。子どもに気づく時間を与えて、自分の頭を使って進むように、頑張ってもらうのです。
細かく指示した挙句、「どうして言った通りにしないの!」と怒っては、本当の学びや気づきはありません。子どもの横に立って、ずっと指示している方が、指導者としての達成感は味わえると思いますが、実は、傍らで静かに見守り支えてあげることが大切なのです。
この見守る指導法が、子どもを導くことができると信じています。



食育・料理研究家 坂本 廣子さん JA広報通信2009.1月号より
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■2008/5/26 - みんなで実践 食育のはなし
食育の視点がキーポイント
食育・料理研究家:坂本廣子さん JA広報通信2008.5月より

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私自身も、えぇ! とびっくりしたのが、家庭科の教科書の献立でした。
タマネギ、ジャガイモ、ニンジンと野菜が食べられない子どもがいたとしても、何かを作らなくてはいけません。
皆さんなら何を思い浮かべますか? 肉じゃが?カレー? そうですね、私もそう思っていました。
ところがそれらの献立は、学校の家庭科室では作れないのです。日本の典型的なご飯、魚の煮付けも駄目なのです。
理由は簡単です
「家庭科室では、卵以外の動物性タンパク質を生で使ってはいけない」
の一文があるからです。もちろん尾頭付きの生魚も駄目です。
「ひき肉だったら直接手で触らないので使えるのでは」と聞きましたが、やはり駄目なのです。
野菜嫌いの子どもに、校庭でできた完熟のトマトをぱくっと食べさせたい、と思ったことがありました。しかしそれもかないませんでした。
「1分間、75度、煮沸してからでないと食べさせてはいけません」
と言われたからです。
今の学校の先生が「本物を伝えたい」と頑張るのは、なかなか難しいようです。
そこで、家庭科でのおすすめ献立を考えてみると、ポテトサラダがいいかもしれません。
加熱した肉であるハムやソーセージ、ゆで卵を加えて出来上がります。
それにしても、私たちの日常生活における料理法と、学校での授業にこれほどギャップがあるとは思いませんでした。
何でもかんでも消毒して食べないといけない、と学校で教えられているような印象を受けます。
私たちがいつも食べている和食 ----煮魚に和え物、ご飯に味噌汁といった献立を教えられない、伝えられないのは、とてももったいない事だと思います。
食育の視点から見直してみると「食の体験を妨げない」の一項が、これらの矛盾を解決する為にも、今こそ必要になってきたのではないでしょうか。

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